1: 2017/12/23(土) 21:28:48.96 ID:CAP_USER
小兵ながら横綱相撲
BMWの世界戦略を担う小排気量モデル「G310」シリーズ。その第2弾として、BMW得意のアドベンチャースタイルをまとう「G310GS」が登場した。圧巻のブランド力を誇る、“GS”という看板を背負った最新モデルのライドフィールを一言で表すと?
BMWが繰り出した必殺の得意技
「めちゃくちゃ乗りやすい!」。それがBMW G310GSの第一印象。しかし印象などというのは絶対値ではなく、過去の経験との相対値に他ならない。では何と比較して「乗りやすい!」と感じたかと言えば、ここで前に紹介した「BMW G310R」である。エンジンやフレームはまったく同じながら、フロントホイールをRの17インチから19インチに変更。ディメンションを改めた結果、見事なまでに乗り味を変えてきた。
そんな話を続けると、「じゃG310Rは乗りにくいのか」と誤解を招くかもしれない。そうではなく、先に発売されたのがRだったがために後発組の基準になっただけだ。歌やダンスのうまさを競うコンテストでも、後の組ほどインパクトが大きく感じられるのと同じです。それほどに印象という査定値は曖昧なのだ。
けれどG310GSにある種の絶対的な乗りやすさを覚えたのは事実。その感覚を導き出したのがBMWの“GSチューン”である。千代の富士の左上手とBMWのGSは、それを出された日には「ごめんなさい」という他にない、必殺の得意技なのだ。
オタメゴカシじゃない!
このままBMWの決め技について書きたいところだが、まずはG310シリーズについて触れておく。
313ccの排気量に由来する310は、BMWが新たにチャレンジした小排気量クラス。パートナー企業のTVSモーター・カンパニーがインドで製造しコストダウンを実現。各国各地域の排ガス規制や現地法令をクリアするスペックを備え、早い話が新興国市場を席巻するためにつくられたシリーズだ。これまで、そうした小排気クラスは日本メーカーの得意分野だったが、BMWもブランド力を誇示して急成長するマーケットに乗り込んできたのである。
いやいや、ブランド力だけでオタメゴカシにしないのがBMWの偉いところ。新開発の液冷単気筒エンジンは、吸気系が前で排気系が後ろの後方排気型という珍しい形式を採用。これがするするとストレスなくよく回る。その第1弾が、前傾するシリンダーに合わせるような前のめり感を強調したロードスポーツのG310R。それに続いたのがアドベンチャー系のG310GS、という図式だ。
これもG310Rの記事で書いたことだが、このモデルに対して取材チームは「もしバッジがなかったら?」というかなり意地悪な考察を試みた。では、G310GSに同じ問い掛けをしてみたらどうだろう。答えは、「ごめんなさい」。なぜならGSチューンは白鵬の左四つと変わらぬBMWの得意技だからだ。ふむ、それにしても相撲はどうなってしまうのだろう。
排気量に関係ない存在感と扱いやすさ
G310GSのボディーからBMWのバッジやGSの文字を取り去っても、やはりG310GSはBMWにしか見えない。最近は日本メーカーもこの手のアドベンチャー系の新型を続々発表しているので、「もしかしたら?」と思ったりもするが、やはりシルエットだけでもGSの文脈を正しく受け継いだものだとはっきりわかる。
単純に言えば、オリジナリティーとクオリティーの差なのだろう。BMWには、横綱と呼ぶべき「R1200」を頂点に「F800」「F700」にもGSが用意されている。そのどれもが見まごうことなきGSルック。この形になったらBMWは勝ち星を計算できるのかもしれない。ゆえに、小兵ながらG310にも横綱相撲を取らせるためにGSを用意した。恐るべき独逸部屋の勝利への執念……。